超音波CTによる温度・風速計測

 空間内の温度・風速分布を、非接触かつリアルタイムで計測するニーズは、科学分野・工業分野で広く存在します。当研究室ではこの目的を達成すべく、超音波を利用したCTシステムについての研究を行っています。
 CTとは様々な方向から計測対象に波を照射し、計測対象を透過した後の投影データを逆投影することで対象を再構成する画像技術です。このCTの原理を用いた超音波CTのシステムは、超音波が空気中を伝搬する際に温度・風速の影響を受けることを利用し、その分布を再構成します。

Fig.1 超音波CTによる計測のイメージ

 超音波の送受信器を対象領域の周囲に設置し、その間の超音波伝搬時間を測定します。このとき、超音波の伝搬速度は対象領域の温度と風速の両者から影響を受けますが、往路と復路で風速による影響は異なっているため、次式のように2つの影響を分離することができます。

Fig.2 温度・風速による超音波伝播速度の影響

 これらの式を用いて、既知である定常状態からの温度・風速分布の変化を再構成することができます。 現在当研究室では、送受信器をフレキシブルに配置可能な無線の超音波CTシステムを構築し、高精度に再構成することを目指しています。

Fig.3 超音波CT装置Fig.4 温度分布の再構成結果